大阪地方裁判所 昭和50年(行ウ)3号 判決 1975年9月29日
大阪市阿倍野区文ノ里二丁目七番六号
原告
有限会社阪大青果食品
右代表者代表取締役
増田公孝
同市同区三明町三丁目一〇番二九号
被告
阿倍野税務署長
佐藤和夫
右指定代理人
河原和郎
同
秋本靖
同
岸田富治郎
同
吉田秀夫
同
高橋孝志
主文
原告の訴えを却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一、当事者の求めた裁判
一、請求の趣旨
(一) 被告が原告に対し、昭和四八年一一月三〇日になした自昭和四七年六月一日至昭和四八年五月三一日事業年度分にかかる法人税の更正処分中、所得金額二万八、三九八円を超える部分を取消す。
(二) 訴訟費用は被告の負担とする。
二、請求の趣旨に対する答弁
(一) 本案前の申立
主文同旨。
(二) 本案に対する答弁
1、原告の請求を棄却する。
2、訴訟費用は原告の負担とする。
第二、当事者の主張
一、本案前の申立の理由
本訴において、原告は昭和四八年一一月三〇日付で被告のなした更正処分の取消を求めているが、行政事件訴訟法一四条によれば、取消訴訟は処分又は裁決があつたことを知つた日から三箇月以内に提起しなければならないとされているところ、原告が本訴を提起した昭和五〇年一月二三日は、大阪国税不服審判所長より裁決書謄本が原告に送達された昭和四九年一〇月二二日から起算して三箇月をこえることが明らかであり、本訴は出訴期間を徒過した不適法な訴えである。
二、本案前申立の理由に対する原告の主張
被告主張の裁決書謄本がその主張の日に原告に送達されたことは認めるが、期間の計算においては初日は算入されないから、出訴期間は昭和五〇年一月二二日をもつて満了するところ、本訴は同日原告が当庁へ訴状を持参して提起したものであるから、本訴は適法である。
三、請求原因
(一) 被告は昭和四八年一一月三〇日原告に対し、自昭和四七年六月一日至昭和四八年五月三一日事業年度分にかかる法人税につき、原告の確定申告所得金額二万八、三九八円に原告会社の監査役林正太郎に支給した賞与一七万五、〇〇〇円を加算した二〇万三、三九八円をもつて所得金額とする更正処分(以下本件更正処分という)をした。
(二) しかし、監査役林正太郎に支給した賞与を損金に算入してはならないことは法律に規定すべき事項であつて、政令に規定すべきものではない。
四、請求原因に対する答弁並びに主張
(一) 請求原因第一項は認める。
(二) 原告会社は肩書地に本店を、大阪市内二個所に販売店を設けて青果食品の販売を業としているものであり、青色申告書の提出承認を受けている法人であるが、本件係争事業年度において、監査役林正太郎に対し臨時に支給し又は支給すべき給与の額一七万五、〇〇〇円を報酬として損金の額に算入していたことが判明した。しかし、監査役に対し定期に支給される給与以外の臨時に支給すべき給与は役員賞与に該当するから当期の損金の額には算入されない(法人税法三五条一項、四項、二条一五号、同法施行令七一条一項)。よつて、被告は本件更正処分をなしたものである。
第三証拠
被告は乙第一、二号証を提出し、原告は乙号各証の成立を認めると述べた。
理由
行政事件訴訟法一四条によれば、取消訴訟は処分又は裁決があつたことを知つた日から三箇月以内に提起しなければならないとされているところ、大阪国税不服審判所長より本件更正処分について裁決書謄本が原告に送達されたのが昭和四九年一〇月二二日であることは当事者間に争いがなく、本訴が同日より三箇月を経過した後の昭和五〇年一月二三日訴状郵送の方法により提起されたものであることは本件記録から明らかである。
そうすると、本案につき判断するまでもなく、本訴は出訴期間経過後の不適法な訴えであるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 辻中栄世)